ハンドメイドの愛しさと切なさと心強さについて思うこと

ゲームでも仕事でも趣味の世界でも、何かに集中しているときは、時間も忘れるし、嫌なこともしなくちゃいけないことも忘れてしまいます。どうしてもしなくちゃいけないこと(例えば猫砂の購入とか)をやってるときでも、どこか上の空で、手元は全自動で動いているけれど、頭の中では、あと3段埋めて色替えて、指定は153番だけど、前の作品で少し残ってるから別メーカーだけど、あの糸似てるし使い切っちゃおう、ちょこっとだから目立たないよねとか考えていたりします。そんなふうに夢中になってしまうことってありますよね。
手作りって、作った人の思いやぬくもりがあって、好きな人は好き。私も大好き!minneやCreemaを見ていると時間を忘れます。

ハンドメイドという言葉について調べてみました

ハンドメイドとは、英語で「機械でなく手で作った」という意味です。似たような言葉に、「ハンドクラフト」や「ホームメイド」があります。この使い分けは、英語ネイティブ人でも厳密にはやってなくて、状況に応じて使い分けているようですが、だいたいの分け方を聞いてきました。

●ハンドクラフト:道具からこだわって作ったりする工芸品。主に修行を積んだ職人さんが作り出す。実用品だけど、お値段もそれなりにするので、もったいなくて使えない。もはやアートに近かったりする。

●ホームメイド:自宅で作りました。地元で作りました、自家製です。

●ハンドメイド:職人ではないけれど、それなりに技術を持った人が作ったもの。便利な道具も使うし、材料は買ってきて組み合わせてもOK。
ホームメイドは自家用をおすそわけ。品質は問わないでね、でも美味しいよv。ハンドメイドは、人様にお譲りするために作りました。品質にはバラツキがあるけど、それが個性で一品ものの証し。

ざっくり、こんなかんじなんですが、なんとなく納得できます。日本製品の場合、工業製品であっても工芸品並に品質向上させてしまうので、やっぱり「人の手で作った」かどうかが1番のポイントですね。

ハンドメイドという言葉が現れた時代


photo credit: CharmaineZoe’s Marvelous Melange Godeys Ladys Book June 1864 via photopin (license)

「ハンドメイド」と言う言葉が現れたのは、18世紀半ばの産業革命後、工場で大量生産された製品が出回り、庶民の手にたくさんのモノが届くようになったころです。品物の品質はまだあまり良くなく、それまでの職人さんが作り上げる製品の高品質さをアピールするために使われ始めました。キャッチコピーだったのですね。今でも手縫いの靴やバッグ、男性のスーツなどはハンドメイド(ハンドクラフト)が至高とされていたりします。

18世紀半ば~19世紀はじめといえば、世界中で独立戦争が起こり、日本も明治維新の時代。パリで各国の技術の粋を集めた万国博覧会が開かれ、科学も技術も経済もすごい勢いで発展した時代でした。「ハンドメイド」という言葉は、工場出荷の粗悪な大量生産品と対比する言葉として生まれ、高品質で高価な製品であることをアピールするために生まれましたが、今では、誰でもが、作る楽しさ、手に入れる喜びを得られる、暖かさを感じさせる言葉になりました。

いとしのハンドメイド

ハンドメイドのジャンルってどのくらいあるのでしょう?Creemaやminne、フェリシモのクチュリエ、ついでに海外サイトのEtsyでも調べてみたのですが、作品では、15~20,技法では40以上ものジャンルがあります。どのくらいの人がハンドメイドを楽しんでいるかというと、日本では、今年東京ビッグサイトで開かれたCreema主催の「ハンドメイドインジャパフェス2017」では約5000人のクリエーターが出展し、来場者は、5万人以上が訪れました。一般社団法人日本ホビー協会のホビー白書によると日本のハンドメイドの市場規模は8906億円(2015)、クラフト関係の活動をしている人は、2141万人という素晴らしい状況になっています。この状況は、作った作品を販売するハンドメイドマーケットサイトが現れたことが大きいと言われています。

このながれの源流は、2005年のアメリカでのこと。みんなと同じものを持つよりも、1つだけのものを持ちたい、ストーリーのあるものを持ちたいという大量生産品への反発から始まったと言われています。それを受けてEtsy.comができたのも2005年でした。日本では、2010年にCreemaがサービスを開始しました。

ビーズやレジンといった様々な材料が出回り、従来の編み物や縫い物から、インテリア雑貨、アクセサリーと、さまざまなものが生み出され、だれもが作る楽しみを見つけられる状況になっており、これからも色々な技法が編み出され、広まっていくと思います

切ないハンドメイド

々調べていると、ハンドメイドマーケットが拡大したのは、ユーザーの意識が変わったからという分析が多いようですが、その頃の日本はバブル崩壊の後遺症をひきずり、リーマンショックを経験し、就職先はないわ、東日本大震災は起こるわと、とても辛い時期でした。日本の場合は、ものの持つストーリーがーとかよりも、切実に副収入を得たい、かわいい家具を揃えたいけど経済的に無理だから自分でなんとかしたいというのが動機だったのではないでしょうか。
とても個性的な作品を作る作家さんが、Etsyで販売したいと言って、登録を手伝った事があるのですが、作家自身のことや作品についてのストーリーを書くことになっていて、どうする?と聞いたら、自分のことはプライバシーだから最低限のことしか出したくない。作品のストーリーって何よ、こういう物を作るのが好きだし、得意だし、売れれば家計の足しになるって思うから売りたいだけと言われて困ったことを覚えています。
でも、売ってお金にしたい。それだけじゃなかったと今では思っています。

心強いハンドメイド


photo credit: Tony Deifell wdydwyd Burning Man 2008 via photopin (license)

もともと手先が器用な日本人は、家庭科の授業で基礎的な事は教わっています。縫ったり、編んだり以外にも、100均やホームセンターで材料を揃え、自分でペンキを塗ったり、壁紙を貼ったりするDIY女子だっています。職人や服飾では就職できなくて、一般企業に就職したけど、もともと手作りが好きだし、技術もあるし、自分で作品を作って販売したい。そういう、ものづくりへの押さえきれない思いがある!と思います。
西欧では、仕事は生活のため、将来は、暖かい海岸で毎日のんびり海を眺めて、死ぬまでの日々を無為に過ごすのが一般的な夢ですが、日本人の場合、田舎に移り住んだら、夫は畑、妻は料理、近所の人をもてなして、喜ぶ顔を見るのが楽しみって、どんだけ働くのが好きなんでしょう。最初は、のんびり山や海を眺めていても、いつしか退屈になって、絵を描いたり、里山の研究を始めたり、挙げ句の果てには、ボランティアで観光ガイドをしたり、カフェを始めてしまうのが日本人の性分のようです。

働く喜び、ものを作る楽しみ、人の役に立つ喜び、そういう喜びや楽しみを得ることができるハンドメイドが気軽に試せ、また、他の人に教えて分ける事ができるというのは、素晴らしい事だと思います。いろいろな技法が編み出されて、それぞれ普及のために協会が立ち上がり、材料メーカーもたくさんのキットを販売しています。
ものを作って売ったり、物を作る技術を教えたり、そういう喜びをつなげていく生き方の道が開けてきているというのは、本当に心強いことだと思います。おけいこ.comの先生たちは、クラフトの先生も、料理の先生も、何の先生であれ、みなさん、自分の持っているものを伝えよう、習いに来た人に楽しんでもらおう、喜んでもらおう、そう思って活動されています。おけいこ.comも、もう一つの選択肢、もう一つの道を求める人達のために、楽しさ、喜びを伝えて行ければと思っています。がんばるね!

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